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第8回

第8回SDGs勉強会「国際教育協力の最前線 ~『質の高い教育』を問い直す」

2017年10月21日実施

国連フォーラム関西支部 第8回SDGs勉強会
国際教育協力の最前線 ~「質の高い教育」を問い直す~

 

2017年10月21日(土)に国連フォーラム関西は第8回勉強会『国際教育協力の最前線ー「質の高い教育」を問い直す』を開催いたしました。今回はその報告をさせていただきます。

本イベントでは、国連フォーラム関西運営メンバー3名によるプレゼンテーションとワークショップを通じて、国際教育協力における教育の質に関する議論の潮流を理解し、国際教育協力に関わるアクターについて学びました。

【イベント概要】

《企画概要》

第8回
イベント名:
国際教育協力の最前線 ~「質の高い教育」を問い直す~

日時 :2017年10月21日 14:00~17:00

場所 :賢者屋大阪梅田

タイムテーブル:
13:30~14:00:開場
14:00~14:05:オープニング、国連フォーラム紹介
14:05~14:25:プレゼンテーション①
14:25~14:45:プレゼンテーション②

14:55~16:00:ワークショップ
        ~この国に必要な「質の高い教育」って?~
16:10~16:35:プレゼンテーション③
16:35~17:00:クロージング

プレゼンター :

  • 矢野泰雅(神戸大学大学院国際協力研究科修士1年)
  • 浅川裕子(京都大学教育学部3年)
  • 安藤秀雄(神戸大学大学院国際協力研究科修士2年)

【開催報告】

《プレゼンテーション①》

『国際教育協力のこれまでとこれから〜「質の高い教育」と「教育の量」』(矢野)

教育協力とはどのような協力を指すのだろうか。ミレニアム開発目標の後継として持続可能な開発目標(SDGs)が採択されてから2年経ち、教育の目標において7つのターゲットが定められていますが、第1部ではこれまでの教育協力の潮流と変遷に焦点をあて、教育の『量』と『質』の観点から「教育協力」を考えました。

発表後には参加者の方から「伝統的な教育を行っている地域が存在する国であっても、純就学率100%を目指すべきなのか?」という質問をいただきました。この質問に対して、プレゼンターからは、答えは一つではないとした上で以下の文献が紹介されました。
「伝統社会における近代教育に関する課題は大変重要かつ難しい議論となっています。教育は、国家の経済開発に必要であり、1人1人の将来の選択の可能性を広げる手段として議論される傾向がありました。また、伝統社会の人々もそれらの正の影響に賛成し、同意することも少なくないことも重要です。しかし、文化継承の点から伝統社会への負の影響を与える可能性があるのも事実です。以上からわかるように、伝統社会ごとに「教育」の役割は異なり、一概に公教育を排除すべき、また普及すべきとはいうことができないため、ケースによって文脈を理解することが重要になるのではないでしょうか。」
(参考:高柳妙子「ケニアの伝統的な社会における教育の意味-ラム県とナロック県の比較から-」国際教育協力論集, 第12卷, 第2号, 2009年)

      

プレゼンテーション②

『「質の高い教育」を考える「内容と方法」の視点」〜”誰も取り残さない”ために最後の5%を教育を保障する』(浅川)

「質の高い教育」の「質」とは何か。就学率の向上や学校の設備、教師の力量形成に加えて、教育の「内容と方法」の視点も見落とすことはできません。第2部では、紛争後社会に焦点を当て、民族融和などの社会課題と教育の関わりについて、教育の「内容と方法」の視点から考えてみました。

第二部では「最後の5%」に着目したプレゼンテーションが行われました。これは学齢期の子どもの5%~10%を占める層を意味し、都市から離れた遠隔地の居住者、放牧生活者などの地理的要因に影響されるもの、障がい児、難民など、特殊な教育需要があるもの、女子などが挙げられます。教育機会の量的拡大によって、初等教育へのアクセスは飛躍的に増加を遂げていますが、まだこれに手が届かない「最後の5%」の層がいるのです。
(参考:山田肖子「初中等教育の意義と課題ー途上国の現場でのミクロな分析からー」JBIC 教育ネットワーク研究会ー国際教育開発連続講座第2回ー、2004年)

インドのカーストに関心を持つ参加者の方から、「子どもの生活に根差した教育内容と方法について、カーストの場合は具体的にどうなるか?」という質問をいただきました。プレゼンターからは、アメリカの「デモクラティック・スクール」にて実施された多様性のある集団の中の彼らの生活経験に基づいた教育方法を例にあげ、カリキュラムは公的に共通の枠組を参考にしながらも、教育現場の歴史や文化に合わせて、教師が主体的に編成していくことに価値があるのではないかという考えが述べられました。

《ワークショップ》

ワークショップ:『この国に必要な「質の高い教育」って?』

ワークショップでは、仮想国家・ヒユタ共和国のケーススタディを通して、教育内容・方法における課題を考え、多様なアクターによる関わり方の可能性をグループに分かれて話し合っていただきました。

プレゼンテーション③

『国際教育協力にどう関わるか?ー民間企業の役割ー』(安藤)

第3部では国連と民間セクターの国際教育協力に向けた動きを概観した後、事例を交えながら教育関連企業の国際教育協力に関わる活動を紹介しました。また、国際協力業界の中で近年プレゼンスが高まりつつある企業に焦点を当て、自分らしい国際育協力についても考えました。

・KUMONののバングラデシュ事業におけるアプローチについて
プレゼンではKUMON職員がBRACスクールに通う貧困層の子どもたちに対して直接関わるという形ではなく、ライセンス契約や現地スタッフ育成の面で関わっている事例を紹介しました。KUMONは国内においては、数学・国語・英語を主力として外国語や書道など様々なコンテンツを提供していますが、海外ではその国の文化や歴史等を踏まえた教科内容にしています。バングラデシュにおける教育事業は、FC展開の事業性の検討や人材育成の仕組みの確立などの為の新たなパイロット事業を2017年より展開しており、今後はJICAに限らず国連との関わりも視野に入れ、教材等のリソースを提供した教育事業の拡大を続けることを紹介しました。
プレゼンを通して、自分の思い描くアプローチがどの組織に所属することできるかは、しっかり調べて考えなければならないことを参加者の皆様と考えられたかと思います。

《参加者の声》

最後に参加者アンケートから一部参加者の声を抜粋してご紹介します。

  • 教育の質と量に分けて考えたことはなかったので新鮮だった
  • 質の高い教育と言っても幅が広く、単純な問題でないことがよくわかった
  • グループでの意見は色々な見方が人によって違っていて面白かった
  • 国際機関と言えば国連やJICAを思い浮かべませんか?という質問にハッとさせられました。民間企業もそうであること、知らないうちに意識から外してしまっていました

みなさまと共にこのような場を作ることが出来たことを、とても嬉しく思います。

これからも国連フォーラム関西支部をどうぞ宜しくお願い申し上げます。


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第6回

第6回SDGs勉強会「アフリカの将来とビジネス~TICAD VIを経た今、日本の果たす役割とは~」

2016年12月9日実施

国連フォーラム関西支部 第6回勉強会

SDGsとアフリカ開発

開催報告

国連フォーラム関西です。2016年8月下旬、ケニアにおいてTICAD VI(第6回アフリカ開発会議)が開催されました。1993年以降日本政府が主導する形で開催されてきたTICADが、今回初めてアフリカでの開催となり注目を浴びました。
「日本はこれまでどのようにアフリカと関わってきたのだろう?」「アフリカが抱える問題は、今どうなっているのだろう?」今回のTICADをきっかけに、このような疑問を抱かれた方もいると思います。アフリカの開発、そして日本とアフリカの関係について、ゲストの方々、参加者の皆さまで一緒に考え、学びました。

【イベント概要】

《企画概要》

イベント名:SDGsとアフリカ開発

日時 :2016年12月9日 18:30~21:00

場所 :関西学院大学大阪梅田キャンパス1004教室

ゲスト :

  • 田瀬 和夫氏
    国連フォーラム共同代表。デロイト トーマツ コンサルティング株式会社 執行役員・ディレクター。2016年5月1日より同社CSR・SDGs推進室長に就任。
    1992年外務省に入省し、国連政策・人権人道・アフリカ開発・国際機関拠出金・人間の安全保障などを担当したのち、2004年に国際連合人道問題調整部人間の安全保障ユニット課長。大阪大学招聘教授。
  • 大豊 盛重氏
    公益社団法人 日本国際民間協力会NICCO 本部部長/NGO相談員
    放送局・テレビ番組制作会社での勤務を経て2010年NICCOの職員となる。マラウイでの飢餓の起きない村づくりのほか、東日本大震災、パレスチナオリーブ農家支援などで現地担当。現在は京都本部にて広報・チャリティイベントを担当。
  • 久木田 純氏
    国連フォーラム共同代表。関西学院大学教授(学長直属SGU招聘客員教員)。
    ユニセフ駐モルディブ事務所、駐日事務所、駐ナミビア事務所、駐バングラデッシュ事務所、ニューヨーク本部を経て、駐東ティモール事務所代表、駐カザフスタン事務所代表を歴任。2003年に 世界銀行総裁賞受賞、2011年に東ティモール共和国勲章を受勲。
  • 大林 稔氏
    龍谷大学経済学部名誉教授。早稲田大学経済学研究科博士課程満期退学。博報堂、外務省、国連開発計画などを経て龍谷大学へ。
    アフリカの政治経済および開発援助について研究を進めるとともに、実践的にアフリカの発展に関わり、第四回TICADの際はTICAD市民社会フォーラムの代表として、アフリカと日本の市民社会の参加に努力した。

【開催報告】

第1部》講演
「アフリカの開発とTICAD」(大林氏)
「アフリカにおける国際協力とNGOの実例」(大豊氏)
「ビジネスは格差を解消できるのか」(田瀬氏)

《第2部》パネルディスカッション
「アフリカ×SDGs×ビジネス」

《第3部》座談会

当日の内容を記録致しました議事録は以下のURLからご覧いただけます。
https://docs.google.com/…/1vwAKj0t-zY0uoF4XlrqAZSXfbX-cU9nL…


多くの参加者の皆様と共に、ゲストの方々を交え充実した議論を行うことができ、運営メンバー一同とても嬉しく思います。
これからも国連フォーラム関西支部をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

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