ネパール・スタディ・プログラム

第3項 ネパールにおける人権の現状と課題

執筆者:首藤 みさき

問題意識及び問題意識をめぐる議論

  • 本勉強会では、ネパールにおける人権問題について、1)人権の定義、2)紛争後の平和構築、3)カースト・少数民族、4)難民・国内避難民、5)違法労働、6)ジェンダー、7)その他の人権・法の支配の観点で、研究班が調査・研究した結果が報告された。
  • 根底にある人権の考え方と人権保護義務の所在の理解に基づき、ネパールの現状について分析を行った。関連プロジェクトの実例を紹介することで、勉強会参加者に解決に向けた課題を「実感」してもらおうと試みた。

ディスカッション内容

  • ディスカッション用のケース問題:「児童労働による子供の収入が重要な役割を果たす家庭が多い地域において一年間で児童労働・貧困を削減、教育を普及させるには?」について、ネパール政府、UNICEFプログラムチーム、民間企業のグループに分かれて議論を行った。
  • 政府チームからは家計の引き上げ政策、法整備、事業誘致、教育の提供、UNICEFチームからは差別の存在や雇用の必要性を鑑みた職業訓練、民間企業チームからは給食などを利用した学校へ来る動機付けや、良質な雇用等による動機付けがそれぞれ提案された。

問題意識に対する仮説

  • 震災により、これまでの貧困・格差等の人権課題がさらに悪化したのではないか。
  • 震災による国際社会からの注目が、監視機能を高めたことも考えられる。
  • 依然として政府に課題解決を遂行するキャパシティがないのではないか。

参加者コメント
ネパールにおける人道的課題について主要な課題を幅広く網羅できた。また、ケーススタディを設けることで、受動的な知識の吸収に留まらず、実践的に考え課題を見出すことにつながった有意義な機会であったと思う。

(当日の勉強会の様子)