ネパール・スタディ・プログラム

第2項 震災復興の現状

執筆者:今井 美穂

問題意識および問題意識をめぐる議論

  • 本勉強会の大きな目的の一つは、本プログラムのテーマである「震災からの復興」について議論するために必要な基礎知識、すなわち被害状況、復興にかかわるアクター、そして国際的な支援のシステムについての知識を得ることであった。
  • 上記の知識を得たうえで、復興がスムーズに進んでいないことを前提とし、何が障壁となっているのかについて、多角的な視点から検討した。様々な要因が考えられる中で、どれが大きな原因なのか、どのようにそれらは解決されうるのかについて、現地渡航した際に検証しうる仮説をそれぞれが持つことができた。

ディスカッション内容
様々な要因が考えられる中で、何が復興への足かせとなっているのかについて議論した。最も多く出た意見は、政府のキャパシティ不足、ネパール特有の複雑な地形、そして都市と農村の格差であった。政府のキャパシティが限られる中で、プライベートセクターの役割も言及されたものの、具体的な案を出すことはできなかった。

問題意識に対する仮説
問題意識:何が震災からの復興への足かせになっているのか。

  • 政府のキャパシティ不足、特に集まった財源を地方政府に分配する能力の低さ。
  • 必要な物資を届けることを困難にする、複雑な地形。そうした複雑な地形はインフラの復旧や新たな建設も困難にするので、負のスパイラルに陥っているのでは。
  • 生活水準がそもそも低い農村部では、復興にはより長期的かつ重点的な支援が必要であるはずであるが、そうした支援が行われていないこと。

参加者コメント
政治的混乱、複雑な地形、脆弱な産業基盤という困難を抱えたネパールが、今後どのような方法によって震災による困難を克服するのか、そしてさらなる生活水準の向上を達成するのか、本当に難しい問題であることを実感した。