ウガンダ・スタディ・プログラム

ウガンダ・スタディ・プログラム 第2回勉強会レポート

ウガンダ・スタディ・プログラム 第2回勉強会レポート

7/12(日)ウガンダ・スタディ・プログラムでは渡航前の第2回勉強会を開催しました。
第2回勉強会は2部構成に分かれ、テーマは、前半は「仮説思考入門」、そして後半は、国連フォーラムNY勉強会チーム主催の「SDGsが目指す世界とビジネスの取り組み:コロナ後10年の視点」に参加しました。今回は国連フォーラムの共同代表及びSDGパートナーズ代表取締役CEOである田瀬和夫さんの講義形式で実施されました。
前半部は何と朝8:00から!みなさん気合い十分です!

USP2ndworkshop

前半:仮説思考入門

仮説を立て、答えを最短で導け!
仮説思考とは「正攻法で仮説を立て、推論して検証する事で正解案を導く」実践的な思考法です。
田瀬さんは仮説思考の例として、「河口湖でブラックバスを釣るならどこで釣る?」という問いをおき、湖の深度、傾斜の角度等の“データ”と、ご自身の海釣りの“経験”を元に「釣れそうなポイント」=“仮説”を地図上にマークしました。それを実際の河口湖バスフィッシングの案内地図と比較し仮説が正しい事を“検証”していました。
仮説思考を使う事で問いに対する不明点や疑問点が明確になり思考がシャープになり、解決策を導くための効率性があがるんですね。もし仮説がなかったら、湖の全ての場所を廻ってポイントを探さなければいけません。それは非効率です。
また、「湖畔のすべての箇所における何年にもわたる魚の数、深度、傾斜の情報」といったを必要とせず、最も重要な情報と経験等に基づき仮説を立てる事ができるのも仮説思考の大きなポイント。今後スタディ・プログラムでも学習をしていく際にはぜひ忘れずに実践していきたいですね!

国際協力における仮説思考
国際協力においては、課題解決のための仮説を立てた後、実際に現地で検証します。国際協力の現場は事象が交差する“カオス”な状態が多く、解決のカギを握る “レバレッジポイント”を探すのは難しいため、最低限の知識、経験と勘、が重要とのこと。
では「経験の不足」を打開するにはどうしたらいいのか。これはインタビュー等で調査する際に、ただ聞くのではなく、仮説をもって質問する事が重要とのこと。そうすれば自分の仮説が間違っていた場合はすぐに相手から反証がもらえます。反証を元に更に仮説をブラッシュアップして、仮説⇒検証⇒仮説⇒検証の繰り返し。
いつも自分なりの答えを考えた上で調査するクセを付けたいものです。

後半:「SDGsが目指す世界とビジネスの取り組み:コロナ後10年の視点」

SDGsとビジネスのコラボは近年増えてきている事をみなさんも実感されていると思います。
田瀬さん曰く、明らかにSDGs関連の社会的要請が急上昇しているが、起業はまだ現在SDGsとバリューチェーンとの紐づけに終わっていて、経営戦略には落とし込めていないのこと。

なぜ企業がSDGs取り組む必要があるのか?
「利益を得ながら社会に善をなすべき」というのを企業の大義とすると、「現在の国際社会で共通の善と理想を表現しようとしている」SDGsを活用して利益を上げることは、その存在目的に適う。
田瀬さんの仰る通り、近年のESG投資の高まりや、就職先を決定する学生の趣向の変化等は本当に感じます。学生の仕事を選ぶ基準の主流は「社会に感謝されるか」、「やりがいがあるか」とか。未来は明るい!

どうしたらSDGs戦略がうまくいくのか。
企業のSDGs戦略でうまくいく/いかない企業の差異は、サプライチェーンに構造的にSDGsを取り入れられているかどうか。成功例として、某大手自動車会社では、エンジンからネジに至るまで、サプライチェーンの下流から上流まで、全ての工程にSDGsを浸透させていく流れができているとのことつまりその企業単体の工程でなく、関わる他企業へも影響が波及していく。いわば企業は末端までガバナンスを利かせた構造改革をする必要があるという事です。

SDGsの本質とコロナ騒動の中で
「現在社会では17項目の目標に主眼が置かれていますが、それぞれの目標よりも2030アジェンダ全体の要約として「世代を超えて(present and future generation)」、「全ての人が(no one will be left behind)」、「自分らしく(in larger freedom)」、「よく生きられる(well-being)」世界を目指す事がSDGsの本質。個々のターゲットよりも、実現したい世界に向けて、自分の社会的存在意義(パーパス)を明確にすることが重要である」と田瀬さん。
また「新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、家族・友人の大切さや、所属する社会との繋がりなど、これまで以上に“相互依存関係”が見えてきた。多くの価値観を理解し、相互依存社会の中でそれぞれが“在り方”を自律的に考えられる世界にしたい」とのこと。

所感

現在は、コロナ、排外主義、シンギュラリティ etc.. メディアを通して私たちはいくらでも不安や恐怖を煽られ、怒りやネガティブな感情で世界を眺める事もできるけれど、逆に言えば相互依存が浮き彫りとなった世界の中で、理想を描き、平和な気持ちで生きていれば、それは世界の隅々まで影響を及ぼし、どんな理想も実現することも可能な世界であると感じます。まさにこれが田瀬さんの仰るように「私たちひとりひとりの“在り方”や“パーパス”が重要」という意味だと考えました。
私たちもウガンダの人々の多様な価値観の違いを理解しつつも、同じ地球で相互依存しあっているという事実・感覚を忘れずに、どんな関わり方ができるのか考えていく事が楽しみです。
今回一部しかお伝え出来ませんでしたが、学びが盛りだくさんであり、朝から充実感に溢れました。これから第3回、4回、、と回を重ねるごとに学びを深化させていくために、必須な内容であったと思います。熱い夏はまだまだこれからです。(松本洋一)