ヨルダン・スタディ・プログラム

5.2. 参加者の声(Part. 2)

5.2. 参加者の声(Part. 2)

日比野 佳奈 [所属:報告会チーム/役職:マネジメント]

参加したきっかけ

もともと国際協力に憧れて助産師になり、2年前のルワンダ・スタディ・プログラムの冬のネットワーキング・カンファレンスに参加し、国連フォーラム主催のスタディ・プログラムについて知った。そこで様々なバックグラウンドのメンバーが一年間かけて国際協力の学びを深めていくという内容にも魅力を感じ、話をさせていただいた方がとても素敵な方で、このような方々と一緒に活動したいと思い、去年のパプアニューギニア・スタディ・プログラム(PSP)に応募し参加した。そこで素敵な仲間と出会い、濃く学びの深い一年間を過ごした。今年のヨルダン・スタディ・プログラム(JSP)では、タスクフォースから関わり、マネジメントチームとして参加することとなった。

渡航前の学び

まず、ヨルダンを含む中東の歴史についての学びはとても興味深い。王族国家であり、それはまるでイギリスのロイヤルファミリーのようである。実際に外交もある意味うまく行い資金を得ており、そして政治を行っている王族がヨルダンという国を動かしている。 

渡航前の勉強会を深める中で私が特に重要だと感じたことは、国連が行っている分野ごとに分かれている機関を包括的につなげていく仕組みである。特に難民支援においては中長期的に支援が必要になる場合が多く、分野で分けられるものではないと感じた。また勉強会のディスカッションで「幸せとは何か」を考える機会もあり、自分だったら何が幸せだろうなどと思いをはせながら国際協力や難民支援について考えることもあった。

現地での学び

複数の難民キャンプを訪問できたことは、とてもよい経験であった。そして訪問後の日々のメンバーやグループでの振り返りでも、学びを深めることができたのがよかった。

難民キャンプでは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を中心に様々な国連機関がプロジェクトを実施しており、他の国連機関が行っているプロジェクトを訪問する機会にも恵まれた。シリア難民のキャンプに訪問してみると、機関ごとの連携の難しさを感じた。女性の為、食料の為、子どもの教育の為などという、一つ一つのプロジェクトは有意義であり、スタッフや難民の方々の姿は一生懸命取り組まれていると感じたが、それらの横のつながりについては疑問に感じた。同じようなプロジェクトを違う機関が行っているように見えたものもあった。また、難民を虹彩システムで管理しているという最新のシステムについて、はじめは画期的だと思ったが、難民をシステマティックに管理しており、人権の観点や、支援する側の管理のしやすさ、難民は管理される者として扱われているようだという見方にも共感した。支援する側、される側という視点から言うと、主に支援する側の世界を垣間見たという渡航であったかもしれない。これもまた、私の大きな気づきである。

今後どのように生かしていきたいか

難民キャンプを訪問できたことで、表面上での「難民」の暮らしを知ることができたと思う。しかし難民も同じ人として家族や大切な人がいて、その人の人生がある。私は「難民かどうか」という人の属性にかかわらず、その人の人生に寄り添った助産師でありたいと改めて実感した。

そして、JSPメンバーとの会話やディスカッションで私の思考も深まったように、JSPで出会ったメンバーとは、今後もお互いの人生を語り合える仲間であるように思う。

(写真)アズラックキャンプにて

 

加藤美和 [所属:新規事業チーム]

参加したきっかけ

気候変動の切り口から計画移住、強制移住に関する仕事に関わる機会が増えたので、難民問題全般について広く学ぶ機会を作りたかった。社会人生活と家庭(一児の母)の両立で普段忙しく、個人ペースで進めるオンライン学習だと自分に甘くなりがちなので、「みんなでつくる」がモットーのSPで自分を追い込む状況を作ると学習にあてる時間をしっかり確保できるかと思ったから。また、SPがオファーできる異業種・異世代間交流に魅力を感じたから。

渡航前の学び

勉強会を通じ、ホスト国(ヨルダン)の難民と共存する持続可能な社会政策のあり方について、主に比較的話題性が大きいシリア難民問題を軸に学んだ。

国が自国民に対しその責任を果たすことを使命とすると、越境してきた難民の為にならない政策も多い。シリア難民問題についてヨルダン一国で出来得て、またしようとしていることは重要ではあるが、対処療法的だ。中東そして国際社会の対応に変化がない限り、難民問題を引き金にホスト国の経済発展・社会体制にまで、問題が広がる経緯を、様々な切り口で勉強会では学べた。

3~4カ月の渡航前の学び期間はあっという間に過ぎ、誰に視点を置くのが「良き政策」なのか、正解答が無い議論をもっとしたかった。

また、渡航前勉強期間中に参加者やアドバイザーからスラック上で頻繁にされた情報共有が、中東の基本的な地政学に触れるきっかけになり、とても有意義だった。

現地での学び

事前勉強会の主フォーカスとは違い、パレスチナ問題の奥深さに関する学びが、私にとっては現地で一番印象的だった。長期顕在化しているにも関わらず、本質的な解決を国連または地域・国際社会一丸で試みている訳ではなく、不安定かつ不自然なバブルが存在している現状を目のあたりに出来たことが、大きな糧となった。

視覚的には、シリア難民アズラックキャンプ内「村落」間に広がる土、熱、空だけの広大な無のスペースの、なんとも言えない絶望感が印象に残っている。恵まれた日本人の私は、その広大な「村落」間スペースを横切っているアバヤ姿のシリア女性をトボトボ、無感情に歩いているな、と水で喉を潤しながらクーラーの効いた車窓越しに眺めていた。しかし、もしかしたら、本人達は危険なシリアを脱出でき、子どもの安全が確保でき、食べることができ、学業を継続させてあげられるその難民キャンプにその日いる、ということで、希望を感じ大地を踏みしめていたのか、今でもヨルダンでの一週間を思い出すと、考えさせられる。

今後どのように生かしていきたいか

オンラインベースで出来ることの可能性の探求。そして、もっと積極的に情報発信をしてみること。

仕事と関連はあるけど、直接の関係が無い主題。日々の仕事で交差する可能性が無い職業人、学生。難民・ヨルダン・国連、といった極めてゆるいキーワードで集まり初めて知り合った人々と、100%オンラインで交流して、第三国で実施する現地渡航プログラムを3~4カ月で作り上げる体験をしたからには、ドイツに住んでるから、仕事が忙しいから、子どもがいるから、別に珍しいことしてる訳でもないから、等々、何かを「しない」理由付けは、もうできないな、と自分に言い聞かせ、新しい可能性を広げていきたい。

(写真)アズラック難民キャンプ内「村落」間移動中の車窓より

 

竹林理帆 [所属:新規事業チーム]

参加したきっかけ

「難民問題って中東とかヨーロッパとかの話でしょ?」大学1年生の春、次回の授業テーマが難民問題だと聞いた私は確かにそう思った。そして1週間後、自らの無知と無関心を恥じた。母国で安全な生活ができなくなった彼らは生きるために逃げていた。そして国際社会はそんな彼らを守る責任があると思った。もちろん日本も。その2ヶ月後わたしはドイツの難民キャンプにいた。シリアやアフガニスタンから逃げてきた彼らは故郷への強い思いを語ってくれた。一方でトルコやドイツ、イタリアに住む友人からは受け入れ国の国民の複雑な心境を聞いた。帰国後はいくつかの勉強会に参加した。特に日本の入国管理局の現状には大きなショックを受けた。そんなときにこのプログラムに出会った。私は難民と受け入れ国民の共存の姿と日本ができる支援を探るべく応募を決意した。

渡航前の学び

勉強会での学びは広く深いものだった。確かに、大学で国際政治を勉強して数ヶ月の私はついていくのに必死で「自分はやっていけないかもしれない」と不安だった。それでも私はこの知の海が好きになった。‪それはメンバーがいたからだ。最初は足のつかない海の深さに戸惑っていたが、メンバーに泳ぎ方を教わり1人では見れなかった世界を見た。‬ 勉強会の度に新たな知識を得て、それらが繋がり、体系化された。そんな体験が面白くて楽しかった。そして特筆すべきは、自分の興味関心に向き合えたことだ。JSPには、国連で働いている方、大学の先生、お医者さん、ジェンダーに詳しい方、水のプロなど実に幅広い分野に精通したメンバーがいる。専門も経歴もバラバラな人たちと議論する中で、だんだんと自分の興味が明確になるのに気づいた。私の場合、ジェンダー分野をもっと勉強したいと思った。大学で本格的に専門を決める前に、幅広く知りその中で特に学びたいものがわかったことは、自分にとって大きなプラスになった。

現地での学び

現地の機関訪問では思っていたよりも女性に関するお話を聞くことができた。というのも、他の領域をメインターゲットとした機関や事業でも女性のエンパワメントに関する取り組みがなされていたのだ。例えば私が訪問したUNDPの廃棄物処理場ではヨルダン人やシリア人、イラク人など異なる出自の女性を雇用することで、女性の経済的エンパワメントと社会的結束の強化を実現していた。このような機関や事業の訪問を通して、ヨルダンでは収入創出に着目した女性のエンパワメントが多くなされていることがわかった。一方で、「ヨルダンのふつうの女性」がジェンダー平等についてどのような考えを持っているのかは思うように聞けなかった。そもそも初対面の方に聞いて良い内容なのか否かという面もあるが、私は自身の力不足を悔いた。特に、イスラーム文化の理解の至らなさとセンシティブな内容を正しく伝える英語力の欠如に関しては、渡航前の準備不足だと思う。これからはこのような機会損失をできるだけ減らすために、準備段階にこだわりたい。加えて現地でお話を聞くなかで日本のジェンダー不平等を思い出し、日本の女性の一員としての自分にできること、やるべきことはなんだろうと改めて考えた。ヨルダンについて深く考えるうちにヨルダンを通して世界の様々が見えてきたのだ。

今後どのように生かしていきたいか

今回の渡航で理論と実践のバランスの大切さを感じた。これは車両の両輪で片方が欠けると上手く進まなくなる。例えば渡航前は「受け入れ国民対難民」のように二項対立的に整理して考えることが多かった。しかし現地に行って出会ったのは、様々な色を持ち様々な考えを抱く人々だった。大学での学びは前者のタイプが多い上に、私は物事を抽象化して考えることが好きなので、ついつい理論に偏る傾向があると思う。これからは意識的に現場に目を向け、より誠実な学びになるよう努めたい。また精神の面では「できないことに立ち向かう力」をつけたい。このJSPで今まで失敗や間違いを必要以上に忌避してきたことに気付いた。一方でメンバーの方々は強いから立ち向かっているのではなく立ち向かって強くなっているように見えた。残り数ヶ月、そしてプログラム終了後も失敗と間違いをたくさん重ねてパワーアップしていきたい。

(写真)ペトラ遺跡にて(入場料が50JD、日本円で8000円近くする別名世界で一番高い遺跡。ヨルダンのメイン産業の一つである観光分野の中心スポット。)