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第14回 2005年12月13日開催
於:国連本部(事務局)ビル 1895会議室(18階)


「人間の安全保障と国連改革
国際組織のアカウンタビリティーの観点から

植木 俊哉 教授
東北大学大学院法学研究科


質疑応答


■Q■ どのようにして、この種の問題が議論されはじめたのか?

■A■ 最近、NGOや各国政府をはじめ全世界的にこのような問題の検討が必要であるという意識が急速に強まった。その中で、「1945年のStatus quo(現状)を前提とした国際体制が存続し続けることの問題点」「透明性の確保をどのようにして実効性のあるものにしていくべきか」といった問題が提起されてきた。また、この報告書で提示されたRRPsを、国連の制度にそのまま適用できるかは疑問もあるが、欧州連合(EU)の発展により、EUにおいて発展してきたコンセプト(例えば、合憲性(constitutionality)や機構的バランス(institutional balance)など)を借用して一般化する傾向があることも事実である。


■Q■ 国連職員が違法行為を行った場合、誰が責任をとるのか?

■A■ この点の責任帰属関しては、各ユニット、即ち、課(例えば、人間の安全保障課など)の単位ではなく、国連自体に責任あるとみなされるべきであろう。賠償など財政的な事項が問題となる場合には、賠償のための財政能力が不可欠である。また、国連が賠償責任を負うということになれば、賠償金は結果的には加盟国の分担金より拠出されることになる。。


■Q■ 国家の国際責任ではresponsibilityという用語が使われているが、アカウンタビリティー(accountability)の概念の方が広いのか?

■A■ 政策に関するアカウンタビリティーなど、responsibilityには含まれないものもアカウンタビリティーは含んでおり、responsibilityの概念よりも広い。


■Q■ 国際組織が、この委員会の提案した規範案(RRPs)、また、それと類似するものを受け入れるインセンティブについて考える必要があるのでは?

■A■ 特に損害賠償を誰がどのように負担するのか(分担金に応じた負担?、重過失の場合は個人、責任の所在が特定の国家にある場合には当該国家?など)、意思決定にドナー国がかかわっていたらどうなるのかなど、インセンティブを低下させ得る要因は存在する。


■Q■ 主権免除を根拠として、国連の職務との関連で引き起こされた損害につき、国連が応じなかった場合、どのように強制するのか?

■A■ こういう事態は、個人の裁判を受ける権利を制限することにもつながってしまう。主権免除は無制限であると解すべきではないだろう。特に国際組織に対して認められる免除は、国家に対して認められる国家免除とはその性質も範囲も異なるものである。


■Q■ 例えば、会社では、株主に対する責任と私人(会社の個人等)に対する責任の2種類の責任または規則体系をもっている。また、会社の形態も株式会社、合名会社など様々な異なる種類が存在する。国際組織も様々な形態をもっており、国際組織を1つの規則体系で縛るのは無理があるのではないか?

■A■ 今回の委員会による案は、法的拘束力のある規範ではなく、緩やかなルールにとどまるものである。今後、各国際組織それぞれの事情については、個別具体的に考える必要があろう。

 

以上

(担当:仲居)

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