月別アーカイブ: 2018年7月

第11回勉強会

第11回SDGs勉強会「『法と開発』を考える」

2018年7月22日 実施

国連フォーラム関西支部 第11回SDGs勉強会

『「法と開発」を考える

開催報告

文責:黒﨑 野絵海

2018年7月22日に、関西学院大学梅田キャンパスにて、国連フォーラム関西支部際11回SDGs勉強会『「法と開発」を考える』を開催いたしました。そのご報告をします。

【イベント概要】 

《企画背景》

 1990年代以降の開発援助政策の展開と共に、開発途上国における法制度改革に焦点があたるようになり約30年が経ちます。今となっては、「法と開発」は日本でもソフト面での支援の代表格として、「法整備支援」という名称で行われています。しかし、関西において「法と開発」の議論をしている場は殆どなく、学生自身も知る機会が少ないです。そのため、「法と開発」の重要性を幅広い観点で知る機会をつくるために企画しました。

《イベントプログラム》

オープニング

  国連フォーラム紹介、タイムライン説明

第1部 法と開発の系譜、法整備支援主体を学ぶ

第2部 ケーススタディ

閉会

- ゲストによる講評

- クロージング

《ゲスト》
金子 由芳 神戸大学大学院国際協力研究科教授
アジア地域の民事・経済法制を主対象として、開発に伴う法制度の自律的発展の問題を、比較法的知見と地域研究とを融合する方法で研究している。
東京大学法学部卒業。法学修士 (ジョージタウン大学)、法学博士 (九州大学)、日本輸出入銀行 (現国際協力銀行)、広島大学を経て現職。

【開催報告】

《第1部》

◆法と開発の系譜、法整備支援主体を学ぶ


国連フォーラム関西支部運営メンバーの黒﨑より、開発援助の歴史的変遷とともに、「法と開発」における目的・手段の変化を説明。

以下発表資料を掲載いたします。

https://docs.google.com/presentation/d/1vEkVyIgqK63xdvVls_5N4h1lwI-Hmq_AFTEHDPvnv4Y/edit?usp=sharing

《第2部》

◆ ケーススタディで考える。
ゲストの金子由芳氏より、「法と開発」に関する日本の法整備支援の課題に関しての説明いただいたのち、ミャンマーを事例に日本の法整備支援の課題を参加者同士でディスカッションをしました。

【日本の法整備支援の課題】

①寄添い型支援?~現地ニーズといかに整合化?

②ドナー間のモデル対立をどう整合化すべきか?

③人材育成重視のグッド・ガバナンス支援? ~法曹や行政官をどう育てていくべきか

【ディスカッションの内容】

寄添い型支援?~現地ニーズといかに整合化?

[経済外交と人権外交の両立]
・経済外交+人権外交はできるのか?
人権外交を押し出すとしても経済外交がないと相手国のメリットにならない
・向こう側に寄り添うとは、どういうことなのか?
経済面、人権面の開発をバランスよく行うこととする。

[開発独裁という障壁]
開発独裁によって日本的にも開発がしにくいのかもしれない。

・憲法的な課題を放置しながら経済外交重視でいいのか?
経済が進むと出てくる問題(不正雇用など)が出てくる可能性がある。しかし、憲法に対する干渉は、内政干渉になりかねない。

[結論]
相手国のニーズがあるので経済政策をやり、内政干渉にならない程度の私法や行政の改革を行っていくことがベスト。

人材育成重視のグッド・ガバナンス支援? ~法曹や行政官をどう育てていくべきか

[試験制度]

現状:試験の点数で学部が決まる。

→希望通りの学問が学べるように(教育を平等に)

→日本が試験を監視

[賄賂]

内部から変えていくのは難しい

外部から変える

→・厳しく取り締まる

 ・メディアを通し、賄賂は御法度であると認識させる。

→ただ、取り締まる主体も省庁のため、自分たちが汚職をしてきたのにそれを変えようと頑張るのだろうか。

[結論]

留学生の規範意識を正す

法整備支援とは違ってくるが、

・日本が監視

・日本が企業の技術(IT)で平等な試験を履行する制度を整えるよう促す。

《参加者の声》

参加者の皆様からのアンケート結果を一部抜粋してご紹介いたします。

・「全く知らない分野だったが、1つの国家が別の国の開発・発展を支援していく方法の1つとしてもっと学んでいきたいと思った。」
・「法整備の種類やニーズがあること、日本がどのように行っているかがわかった。」
・「参加する前は、講義が主体の内容かと思ったが、ディスカッションも含まれていて、能動的にものを考えることができたと思った。」
・「元々、経済団体での産業振興をメインにした民間経験を通して大学院で平和構築・開発政治を研究したいと思っていた。この講演に参加してみて、開発をより学問として追求したいと思うようになった。」
・「自身の不勉強な分野である「法」に対する関心が高まった。「政治」と「法」と「開発」の連関性をもっと意識していこうと決意した。」


お越しくださった皆様、誠にありがとうございました。今回残念ながらご参加頂けなかった皆さまも、次回以降の勉強会のご参加をお待ちしております。

国連フォーラムは引き続き皆さまに有意義な「場」を提供できるよう努めて参ります。今後とも、国連フォーラム関西支部をどうぞよろしくお願いいたします。

また、国連フォーラム関西支部のFacebookグループページホームページでは、国連や国際協力に関する情報共有を行っております。関心のある方はぜひチェックしてみてください!