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第5回 杉 みちるさん / UNICEFバングラデシュ事務所
インターン先:UNICEF バングラデシュ事務所

(写真:エイズ予防プロジェクト現場にて/セックスワーカーの子どもたちと)


ユニセフ・バングラデシュ事務所の杉みちると申します。私の場合は、ユニセフに於いての約3ヶ月のインターンシップ(2004年3月〜6月)の後、契約を結んで貰えた恵まれたケースなので、ご紹介したく投稿させていただいています。ちなみに、ユニセフ・バングラデシュ事務所でのインターンの前に本部事業資金部においてもインターンをさせていただきました。


■1■ インターン獲得まで

大学院卒業後、就職活動・JPO受験の結果待ちをしながら日本政府国連代表部でアルバイトをしていたところ、ユニセフ本部事業資金部の久木田さんとお会いする機会に恵まれました。丁度JPOの面接を受ける直前だったため、ご相談を兼ねて後日ユニセフへ久木田さんを訪ねたのですが、インターンになるはずだった方が事情で急遽辞退されたということで、私が代役を務めさせていただくことになりました。

インターンを始めて間もなく、JPO面接の不合格通知を受けました。私は通算10年程の(日本で3年、米国で7年)の職務経歴があったのですが、開発分野ではまるっきりの新米だったので、フィールドでの実務経験を積みたいと切実に思い、久木田さんにご相談したところ、バングラデシュ事務所の代表および次席に早速コンタクトをとって下さいました。先方から快諾を受け、決定から1ヶ月ほどでバングラデシュに発ちました。


■2■ インターンシップの内容

バングラデシュではエイズ予防プロジェクトに携わりました。100近いNGOが実施機関となることが想定されており、ユニセフはそれらNGOの選定とモニタリングをすることになっていたため、非営利法人の運営と組織評価に関わった経験のある私としては、理想的なプロジェクトでした。職務内容については事前に上司と簡単にメールでのやりとりはしていたものの、具体的なことについては現地に到着してから話し合いました。職務内容に関する最初の話し合いでは、まず自分の希望(それまでの職務経験と大学院で学んだことを踏まえNGOの評価に関わりたいこと、また、ユニセフとNGOとの提携の現状を調査し報告書を纏めたいことなど)を伝えましたが、同時に、どんな仕事でも全力で取り組む気持ちがあることも付け加えました。これは、ニューヨークを発つ前に久木田さんから頂いたアドバイス、「インターンの目的を明確に持ち、且つ、フレキシブルであれ」を念頭に置いた回答だったのですが、至言だと思います。国際機関では自分の意見をはっきり述べられる芯の強さは肝要であり、その一方で、周りの状況や組織のニーズに則して柔軟に対応することも必要だからです。

私にとって非常に幸いだったのは、到着後間もなく事務所代表が面会の時間をくれ、上司が同席したその場で、「ただ事務補助をするのではなく、できるならばNGO評価など実質的な仕事に関わりなさい」と後押ししていただいたことです。その一言のお陰で、上司も私に仕事を振りやすくなったと思います。また、余談ですが、この段階で代表と会え覚えておいて貰えたことが後の契約交渉にもプラスになったのではないかと感じています。

こうして、議事録などの補助業務から始まり、じきに提携先NGOを選ぶ審査委員会のTORの草案作り、NGO評価基準の策定、そして実際の評価にも参加させて貰えるようになりました。同時に、バングラデシュ事務所におけるNGO提携とその課題について調査し、簡単ながら報告書を纏めました。上司がとても理解あり、オープンで、私の力を試すかのごとくいろいろな仕事を割りあててくれたのはとても有難いことでした。また、現地で働いておられた邦人職員の方々がとても親身になってくださり、さまざまなことについてアドバイスを下さったのがとても力になりました。


(写真:エイズ予防プロジェクト現場にて
薬物中毒者支援センターにてアウトリーチワーカーたちと)

■3■ 資金確保、生活、準備

それまでの貯金は大学院の授業料でほぼ使いきってしまっていたので、資金の不足分は知人から借りました。3ヶ月半ほどのインターン期間で、航空運賃(オープンチケットで14万円)を含め全部で30万円くらいかかったと思います。到着してから数日は、ユニセフ邦人職員の方のアパートに居候させていただき 、手頃なゲストハウスを一緒に探していただきました。


■4■ その後と将来の展望

私はJPOに落ちてしまったので、なんとかインターンシップを次のステップに繋げたかったのですが、2ヶ月ほど経過した頃に上司がプロジェクトに残る気はあるかと持ちかけてくれました。私の採用に関しての決済は、「上司(プロジェクトの責任者)→セクションチーフ(予算上の責任者)→次席→事務所代表」の4段階を経なければいけませんでしたが、代表に存在をアピールする面会の機会がもらえたこと、インターンシップ期間中にセクションチーフや次席に仕事を見てもらえる機会があったこと、そして何より直属の上司が懸命に働きかけ根回しをしてくれたことが、契約につながったのではないか思います。

当初は2004年9月から05年7月までの契約を結びましたが、携わっていたエイズ予防プロジェクトの延長に伴って契約更新(2006年7月まで)。2005年10月には、それまでのP2レベルからP3に昇格してもらいました。

今の契約もあと半年を残すところとなり、次のポストに応募を始めているところです。ユニセフが協力関係を結んでいるNGO等のモニタリング、組織評価、能力開発などに強い興味を持っていますが、できればフィールドレベルで事務所の計画・モニタリング・評価に関わり、事務所全体のパフォーマンス、及び、プログラムの分析評価といった経験と知識を積み、その観点からユニセフがNGOや政府機関などとどう協力し合い、キャパシティビルディングに取り組んでいくべきなのかを見出したいと思っています。将来的にはユニセフ組織全体としての政策戦略評価と策定などに関わっていきたいのですが、そのためにも フィールドの経験を更に積む必要があると感じています。


(写真:エイズ予防プロジェクト現場にて
セックスワーカーたちが立ち上げた自立支援NGOにてスタッフたちと)

■5■ その他

私がインターンシップから契約を結ぶに至ったのは、運の良さも多大にあったと思います。後進の育成にご尽力されている久木田さんとの出会い、インターン先で惜しみない支援をしてくれた上司の存在、それを後押ししてくれた上層部、自分を必要としてくれるプロジェクト、そして、スタッフを採用するに足る予算などの要素が揃ったからこそ実現できたと思います。しかしただ黙って待っていても運は開花しないということも事実です。

インターンシップを獲得するため、また、インターンシップを就職に活かすために自身で何ができるのかを、自分の経験や成功されている先輩方の事例を踏まえて総括すると、大切なのは、(1)国連機関において自分が何をしたいのか、そしてこれまでの経験や学んだことをもとに何が「できる」のかを明確に すること、(2)自分のやりたいことについて積極的にいろいろな人と話し、具体的なアドバイスを乞い(社交辞令でも「相談に乗ります」と言われたら積極的にアポをとって相談内容を作ってでも会ってもらう)、そのアドバイスを自分なりに吟味して実行してみること、そして(3)与えられた機会(インタ ーンシップ)において誠意を持って全力を尽くすこと。

以上長くなりましたが、これからインターンシップをされる方々のご参考になれば幸いです。



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