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日本の大学にも適正技術教育の導入を

28-1遠藤 謙さん

遠藤 謙さん

略歴:遠藤 謙(えんどう けん)さん 慶應義塾大学大学院修了後、渡米。現在、マサチューセッツ工科大学メディアラボにて博士候補生。研究室ではロボット技術を用いた最新の義足技術の研究に携わる。
一方で、途上国開発と適正技術開発に関する講義D-labの講師を務め、インドのNGO、Jaipurfootと協力して途上国向けの義肢装具技術の開発に勤める。さらに、D-labの日本の大学への導入やSee-Dコンテスト開催などの活動にも参加するなど、エンジニアとして「本当に役立つものを生み出す」ための新しいロールモデルを目指す。

28-2土屋 大さん

土谷 大さん

略歴:土谷 大(つちや まさる)さん 2005年慶應義塾大学理工学部卒業後、2009年にハーバード大学で博士号取得(材料科学)。現在、本業では燃料電池の大学発ベンチャー企業を立ち上げている。博士課程在学中、科学技術分野のリーダーを育成するプログラム"STeLA (www.stelaforum.org)"の運営や米国の学生との対話を通じて学んだ適正技術教育の現場へのインパクト、教育効果に強く惹かれ、本業の傍ら日本導入活動を行っている。

28-3陸 翔さん

陸 翔さん

略歴:陸 翔(Shan Riku)さん マサチューセッツ工科大学の化学科を卒業後、マッキンゼー東京支社にて勤務。2008年夏に、国連開発計画のインドネシア事務所にて村落地域における水ビジネスの可能性を調査するプロジェクトに参画し、ビジネス×技術を通じた途上国開発・国際貢献に強い関心を持つようになる。 現在、ハーバードケネディスクールMPA/ID修士コースにて、国際開発を学ぶ傍ら、適正技術教育の日本導入活動を行うほか、NPO法人コペルニクのメンバーとして、See-Dコンテスト(http://see-d.jp/)の立ち上げを行っている。 。


1.はじめに - 全米に広がる適正技術教育 -
2.アメリカにおける適正技術教育の変遷
   2-1.適正技術教育の歴史、広がりの背景
   2-2.適正技術教育の特徴、それを支えるもの
   2-3. 適正技術教育がもたらす教育的・社会的効果
3. 日本にできること、日本にしかできないこと
4. 参考文献


1. はじめに - 全米に広がる適正技術教育 -

発展途上国向けのものづくりを教える授業が今、アメリカの理工系教育の分野で熱い。マサチューセッツ工科大学(MIT)のD-Lab [1]、スタンフォード大学デザインスクール(d.school)のEntrepreneurial Design for Extreme Affordability 、カリフォルニア工科大学(Caltech)のProduct Design for the Developing World [3]、カルフォルニア大学バークレー校のDesign for Sustainable Communities [4]、カーネギーメロン工科大学のTechnology and Global Development [5] など、今やアメリカの理工系トップスクールで、途上国向けものづくりの授業をオファーしていない大学を探すほうが難しい。大学発の技術イノベーションを促進するNCIIA(National Collegiate Inventors and Innovators Association)[6] には、全米200近い大学が登録し、なんらかの形で途上国コミュニティー向けの適正技術プログラムを教えている。

この動きは授業だけにとどまらない。2001年にコーネル大学工学部の修士学生(当時)のRegina Clewlowが立ち上げた学生団体Engineers for Sustainable World [7] は現在全米22の大学に支部を持っている。2002年に少人数で始まったEngineers without Borders [8] は12,000名以上のメンバー、全米中180キャンパスのチャプターを持ち、45カ国350以上のプロジェクトを持つまでに広がってきている。更には、授業から発展してできたリサーチセンターもある。MITのInnovations in International Health [9]、カルフォルニア大学デービス校のLighting the Way Zambia [10] などがその好例だ。また、ハーバード大学のGeorge Whitesides教授のように途上国向け技術を先端研究のテーマとして取り上げる動きも出てきた。Whitesidesのグループではマイクロ流体の研究を応用した紙ベースの血液検査キットが開発され、普及を担当するNPOが大学からスピンオフした(Diagnostics for All)[11]。もちろん適正技術教育の授業で開発された製品が、協力パートナーのNGO(非政府組織)で使わる等、ベンチャーとして独立するケースは枚挙をいとまない。スタンフォード大学発のd.light [12]、Embrace [13]、Caltech発のIntelligent Mobility International [14]、MIT発のCellBazaar [15]、AssuredLabor [16]、ClickDiagnostics [17]などはBottom Of the Pyramid(BOP)ビジネスの世界でも注目されている。


今寄稿では、まず、アメリカにおける適正技術教育の広がりについて、その背景、特徴、社会へのインパクトをテーマに紹介する。その上で、技術立国である日本発で出来ること、日本にしか出来ないことについて、可能性を探ってみたい。

2. アメリカにおける適正技術教育の変遷

2-1. 適正技術教育の歴史、広がりの背景

2-1-1. 適正技術(Appropriate Technology)とは

適正技術はもともと「中間技術(Intermediate Technology)」という名前で、ドイツの経済学者Ernst Friedrich Schumacherによって1960年代に提唱された。戦後の復興活動の中で、高度な近代技術を用いた暴力的な援助が成功しないことから、ハイエンドでもローエンドでもない「中間に存在する技術」が多くの雇用を生み出すことを主張し、中間技術の重要性を説いた。さらにSchumacherは仲間とともに非営利団体 Intermediate Technology Development Group (ITDG) を立ち上げ、中間技術の普及に努めた。これらのコンセプトは1973年発売のSchumacherの著書、"Small is Beautiful" [18] で詳しく記述され、適正技術(Appropriate Technology)コンセプトの礎となった。
その後、時代と共に戦後復興から途上国開発へと意味合いが変わり始め、中間技術という言葉が開発援助の世界で一般的に使われるようになる。中間技術の特徴は、

  • 小型
  • 単純
  • 安価
  • 非暴力

という4つに代表されるようになっていった。しかし、中間技術という言葉はハイテクとローテクの間、という相対的な位置を意味する言葉で、必ずしも適切な技術を意味するものではなかった。例えばペニシリンは非常に有名な抗生物質でいずれの国にも適正な技術(かわりになる技術がないため)であるが、「中間」技術という定義には当てはまらない。
そこで、 Schumacherの死後、ITDGを引き継いだGeorge McRobieらは4つの特徴を引用しつつ、新しい「適正技術(Appropriate Technology)」という言葉を使うようになった。適正技術とは

  • コミュニティーの多くの人が必要としている
  • 持続可能性を考慮した原材料、資本、労働力を用いる
  • コミュニティーの中で所有、制御、稼働、 持続が可能である
  • 人々のスキルや威厳を向上させることができる
  • 人々と環境に非暴力的である
  • 社会 的、経済的、環境的に持続可能である

という条件をすべて満たす技術のことを指す。また、適正技術教育を全米の大学に先駆けて始めたMITのD-Labでは、適正技術を以下のように紹介している:
“technologies designed to suit the needs of the community it is intended for, being culturally sensitive, environmentally responsible and spreading productive employment opportunities.”

2-1-2.市民参加型開発と適正技術

適正技術のコンセプトの広がりと途上国に対する開発援助のアプローチの変遷は切っても切り離せない。適正技術のコンセプトが初めて生まれた1970年代は、従来の資本蓄積型の開発援助(投資を促進し、インフラ開発・産業工業化を進めることで経済発展を促す)が、発展途上国の発展や貧困の削減につながっていないことへの悲観論が広がった時代でもあった。その中で、NGOが国際開発の重要な担い手として登場し、住民を主体とする参加型開発のアプローチ(援助受益者である住民のエンパワーメントを通じ、住民自らが開発の意思決定に積極的にかかわり、開発を進めることを促進するアプローチ)が生まれたのもこの頃だ。この住民参加型アプローチは世界各地で成功を収め、1990年代には開発援助の主流アプローチとなる。更に、1989年にはOECDの開発援助委員会が「1990年代の開発協力」の中で、今後の開発協力を主導する理念として「参加型開発(Participatory Development)」を提唱している。このようなボトムアップの開発アプローチを重視する流れの中で、適正技術の重要性も増していった。

2-1-3.持続可能な開発と適正技術

適正技術の発展の鍵としてもう一つ挙げられるのが、1990年代以降の環境・サステイナビリティ(持続可能な開発)問題への意識の高まりだ。地元で入手可能な材料を使い、安価でメンテナンスも簡単なテクノロジーは、資源を多く使わず、環境にも優しいことが多い。先進国でも持続可能なテクノロジーのニーズが広まったことで、適正技術は持続可能な適正技術(Appropriate Sustainable Technology)の文脈でも注目されるようになった。実際、適正技術がよく応用される分野を見ると、エネルギー(非電化地域での動力の確保:人力、ソーラー、風力、バイオマスなど)、水・衛生(浄水、排泄物の回収・再利用など)、住居建築など、環境問題とは切っても切り離せない分野が多い。環境・持続可能性の重要性が工学・建築教育で増したことで、適正技術教育が浸透する契機ともなった。

2-1-4.ビジネスと適正技術

2000年代に入り、適正技術は開発援助・環境という社会問題を解くツールという位置づけから、ビジネスになりうるものとして認識されるようになり、その注目度は飛躍的に高まった。この背景にはいくつかの要素がある。その中のいくつかの具体的背景を説明する。

石油をはじめとする資源の高騰、カーボンクレジット制度の導入、二酸化炭素規制の強化などで環境技術の開発が加速的に進んだこと。これによってソーラーパネル、LEDなど適正技術の現場でよく使われるパーツのいくつかのコストが大幅に下がり、適正技術普及の一助となった。

次に、2004年のC. K. Prahalad著「ネクストマーケット「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略」[19] の出版を契機に、「BOPビジネス」という貧困層を対象にしたビジネスコンセプトが生まれたこと。これによって、適正技術の開発コミュニティーにビジネス経験を持つ人間が多くかかわるようになった。例えば、適正技術に関する授業にビジネススクールの学生が多く参加するようになった。更に、大企業がBOPビジネスに取り組み、起業家がBOPベンチャーを作り、適正技術普及のスピードは飛躍的に向上した。

先進国社会を中心に、「環境に優しい」「社会に優しい」ことが「かっこいい」とされ、それにプレミアム(金銭的なものと社会的な評価・名誉の両方)が払われるようになったことも挙げられる。この社会的風潮は、特に適正技術教育が2000年代後半から爆発的に広がる契機となった。

また、Appleの製品に代表されるような、ニーズベースで作られた製品が従来型のシーズベースで作られた製品より優れた製品として市場で評価されたこと、GEの携帯型心電図Mac800のように「リバースイノベーション」と呼ばれる途上国の厳しい制約条件の中で製品開発を行った製品が先進国でもヒットするという既存とは逆(リバース)の製品普及パターンが見えてきたことも適正技術の普及の風潮を後押ししている。

2-1-5.適正技術教育への社会的ニーズの高まり 

大学の授業は、特にアメリカの場合、生徒からのニーズに大きく影響される。9・11同時多発テロ以降と長引くテロとの戦いの中、アメリカの世論は貧困削減に強い関心を向けざるおえなくなった。こうした時代背景を受け、社会問題に取り組むことが「かっこいい」という風潮が学生間にも広まり、大学でも社会問題解決を扱う授業への人気が2000年代後半から急騰した。これに併せて、大学側にそういった授業を提供してほしいと思う財団からの資金的サポートも増えた(財団のサポートについては次章で詳しく説明する)。メディカルスクールやビジネススクールなどのプロフェッショナルスクールや企業への就職において、「社会貢献活動、中でもグローバルなもの」がリーダーシップ経験として大きく評価されるようになったことも大学の授業拡充を後押しした。学生の社会貢献に対する熱意は、ハーバードを2010年に卒業した学生の17%がTeach for America(*1) に応募しているという事実からも見て取れる。この背景には、アメリカのトップ校を出て成功したビジネス界のリーダーの多くが、慈善活動に移行するようになり、新たな社会的な流れが出来たことも挙げられるだろう。例えば、ビル・ゲイツがマイクロソフトを離れてビルアンドメリンダ財団に完全移行したこと、レイモンド・チャンバースが国連マラリア特使になったことなど、ビジネス界のリーダーが社会貢献活動を本業に移す例が数多く見られるようになってきた。

(*1):米国の学生に大変人気があるプログラムで、学部卒業後2年間、貧困や教育問題のある地域に教員として勤務するプログラム

2-1-6.サービスラーニングと適正技術教育 

更に、「サービスラーニング」と呼ばれる教育手法への関心の高まりも見逃せない。サービスラーニングとは、社会奉仕の実体験を学習機会と捉え、社会貢献を行う上での基礎知識の学習と体験の振り返りを通じ、学生が体験学習を基に知識を習得できるように指導する教育方法である。この手法の特徴は、座学の受動型学習とは異なり、学生自身が能動的に動きながら学習することを求められるところから、知識だけではなく自己発現の機会、幅広い知識、多様性への理解などが同時に得られることにある。公民権運動、Peace Corp(米国版の青年海外協力隊)、Volunteers in Service to America(VISTA、米国国内の貧困削減を目指したコミュニティプログラム)などへの若者の関心の強さを背景に、実際に社会問題解決の一翼を担わせる経験を、教育を通じて取り入れようという流れが1960年代に興り、現在では教育手法として全米中の大学に定着している。特に、1990年ブッシュ政権下のNational and Community Service Act、1993年クリントン政権下のNational and Community Service Trust Actなどを経て、連邦予算に組み込まれた等、社会全体の認識が高まったこともサービスラーニングの定着に寄与した。こうした流れを受け、工学分野でも座学中心の受動型教育を見直し、コミュニティサービスを教育に組み込もうという動きが1980年代から出始め、1990年代には全米中に広がった。この背景には、パーデュー大学のEPICS(Engineering Projects In Community Service)[20] プログラムなど、いくつかの先駆的な大学において「サービスラーニングは学習者が体系的かつ効率的に知識を身につけることを助け、既存の受動的で静的な工学基礎教育を補う役割がある。」ことが実証されたことにある。また、技術倫理教育を自然な形で行えるという点でもメリットがある。このコミュニティサービスに端を発した工学におけるサービスラーニングの流れがグローバル化の流れを受けて発展してきたのが、現在の適正技術教育の背景にある。

また、近年の社会変化を受け、高等教育機関が社会から期待されている役割が急速に変化していることも、適正技術教育を大きく後押ししている。アメリカの大学は、19世紀後半の大学院設立、1945年のVannevar Bushの大統領提言とNational Science Foundation(NSF)設立、1980年のバイドール法制定による大学の知的財産権保有などの流れを経て、「先端研究」と「研究を通じての教育」で世界をリードしてきた。一方、先端研究を重視するあまり、専門分化・細分化が進み、大学の本来の役割である教育への取り組みが疎かになっているのではないかという批判を常に受けてきた。地球規模での環境問題、貧困削減への積極的な取り組みを促す意見が増える中、グローバルな環境で問題解決を先導する人材育成にアメリカの大学は積極的に動いている。2009年のMIT Global Councilの報告書 ”New Directions for Global Education and Research MIT” [21] でD-LabとMISTI (MIT International Science and Technology Initiative) をグローバル人材育成の重要な柱と提言していること、ハーバード大学が学部生の海外インターンシップを推進し、大学で70以上の言語を教え、学部生の58%が海外での経験を積んで卒業していること [22] にも大学としての姿勢が強く現れている。こうした時代背景に応えるため、大学の雇用する人材も多様化しており、テニュアトラック (*2)以外の教員の採用が増加傾向にある。

更には、科学技術が社会に期待されている役割が変化していることもサービスラーニングや適正技術教育が定着してきた一因である。近代工業化の中では基礎学問と専門性が重視され、閉じた環境での研究開発でも十分に良い仕事が出来た。しかし、科学技術が複合的に様々な要素と絡み、地球規模の社会問題解決へ大きな役割が期待される時代となった現在、科学者・技術者には基礎学問と専門性だけではなく、複合的な課題解決能力を求められている。こうした提言は、2008年に発行されたNational Academy of Engineering(NAE)の”Grand Challenges for Engineering” [23]、American Society for Mechanical Engineers(ASME)の ”2028 Vision for Mechanical Engineering” [24]、オバマ政権で科学技術政策アドバイザーを務めるJohn Holdenが記載した”Science and Technology for Sustainable Well-Being” [25] などに見られる。複合的な課題解決能力を教育するサービスラーニングや適正技術教育は、確実にアメリカの高等教育における理工学教育の重要な要素となりつつあることが伺える。Science, Technology and Societyという言葉が近年多く聞かれるようになってきたが、21世紀の科学技術は広く社会に開かれたものでなければならない。課題解決型の適正技術教育は、21世紀を切り開く科学技術人材を育成するのに適した手法なのである。

(*2):日本の大学教員と似た業務(先端研究+教育)を行っている教員で、採用から5-6年の段階で研究業績、教育、社会貢献を総合的に評価され、テニュア(終身地位保証)を得られるかの厳しい審査がなされる。)

2-2.適正技術教育の特徴、それを支えるもの

2-2-1.適正技術教育の特徴 

さて、適正技術教育が広がった背景について説明したが、具体的に「適正技術を教える授業」とはどのようなものだろうか。各大学のプログラムを見ると、プログラムの位置づけも対象学生の層も扱うトピックも大学ごとに異なる。例えば、MITやCaltechの授業は学部生が中心だが、スタンフォード大学の授業は大学院生が対象だ。(*3)ノースウエスタン大学やミシガン大学では、Global Health Technology(医療機器のデザイン)にフォーカスしている が、カルフォルニア大学デービス校では、Program for International Energy Technologiesの一環として適正技術のカリキュラムが提供されている。途上国の提携先も世界中に及び、組織も大学からNGO、ベンチャー企業まで様々だ。

そんな多種多様なプログラムに共通する要素を抽出してみると、下記の3点に集約される:
実践中心の課題解決型授業であること
途上国のユーザーを中心においた技術開発プロセスをとっていること
異なる専門分野の学生の協業が前提であること


すべての適正技術の授業は、「課題の解決」が中心に据えられている。授業のゴールは、途上国が現実に直面している特定の問題、ニーズが解決されることであり、そこから逆算して座学・実習の授業が組まれている。ここでは、工学の知識・スキルを学ぶことはここでは目的ではなく、解決に至るための手段だ。例えば、著者の遠藤がMITで教えている義足の授業(Developing World Prosthetics)では、途上国の身体に障がいをもった人々を救うことがゴールに設定されている。具体的には、インドのJaipurfoot [26] とパートナーシップを組み、彼らが現地で抱えている問題に学生が取り組んでいるのだ。


次に、課題解決のアプローチが、常に最終受益者である途上国ユーザーの目線から組まれていることも数多ある適正技術教育プログラムの共通点だ。技術ありき、モノありきではなく、ユーザーが実際、何を必要にしているのかを学生に考えさせ、ユーザーを中心にした設計を考えさせるアプローチは、優れた成果物が生まれる授業であればあるほど徹底している。例えば、著者の陸が訪ねたスタンフォード大学のd.schoolが中心になって運営するEntrepreneurial Design for Extreme Affordabilityの授業では、教授が口をすっぱくして、ユーザーのニーズを満たす製品がすでにあるなら、一から設計しなおさないよう注意していた。同時に、似たようなミッションを持つような団体があるなら一から起業せず、その団体とパートナーシップを組むことも促していた。d.light、Embraceなどいくつもの優れたBOPベンチャーが生まれた授業だけに、その指導には始め驚いたが、「モノづくりのためのモノづくり」「起業のための起業」をやめさせ、本当にユーザーにとって役に立つモノだけを製品化するからこそ、スピンアウトした会社が成功するのだろう、と合点がいった。ユーザーの視点を担保するためにプログラムのほとんどが途上国の課題をよく知る現地のNGO・教育機関とパートナーシップを組み、現地に学生を派遣している。この現地のフィールド調査の体験を通じて、目の色が変わる学生も多く、ユーザーを知ることは、適正技術教育プログラムの核とも言える。


最後に、アメリカでの適正技術教育の大きな特徴として、異なる専門分野の学生が、専攻の垣根を越えて協業しながら授業に参加していることが挙げられる。これはアメリカの学部教育のシステム(*4) にもよるものだが、異分野の学生が混ざり合って、お互いのスキル・知識を交換しあうことが授業の中からイノベーションが生まれる鍵であると考えている教員は少なくない。適正技術の場合、特に課題解決に必要なアプローチのヒントがどの専門分野にあるか予想がつかないことが多い。医療機器を作るのに、航空宇宙工学の技術が思わぬ形で生かされることもあれば、機械的なデバイス作りが中心になると思われた課題が、バイオテクノロジーの手法によって瞬時に解決することもある。更に実用化のプロセスにはビジネス・公共政策の視点も欠かせない。


以上の三点は実のところ、実社会のどんな技術開発においても肝となるような概念だ。ユーザーの目線に立ち、課題から逆算してものを考え、他分野のエキスパートとチームを組みながら、技術開発を進められる人材の育成はどのテクノロジー企業においても死活問題だ。その観点からも、適正技術教育は、その教育的効果が大いに注目されている。

(*3):ノースウエスタン大学では、ゲイツ財団の支援を受け、工学部、医学部、ビジネススクールが合同でCenter for Innovation in Global Health Technologiesを立ち上げ、授業をオファーしている。ミシガン大学では、機械工学部内にGlobal Health Designというマイナー専攻が立ち上がり、学部3・4年を通じ、途上国向け医療技術の授業・卒業研究を行っている。

(*4):アメリカでは、所属学科を問わず、条件を満たせば大学でオファーされている全学科の授業を好きに聴講できるしくみになっている。特に適正技術教育のような実践型の授業は、全学共通授業として推奨されることも多い

2-2-2.適正技術教育を支えるもの:教員・途上国パートナー・資金源 

そんな適正技術の教育プログラムはなにによって支えられているのだろうか。各大学のプログラムの導入・発展の経緯を調べていく中で、「熱心な教育者」「途上国のパートナー団体」「適正技術教育を支援する財団・公的資金」がプログラムを実現させる核として浮かび上がってきた。


まず、各プログラムの設立経緯を見ると、必ず一人もしくは二人の、適正技術教育に非常に熱心な「教育起業家」とも言うべき人にあたる。MITのAmy Smith、CaltechのKen Pickar、カルフォルニア大学バークレー校のAshock Gadgil、カーネギーメロン大学のBernandine Diasなど、設立経緯を調べた20近くの大学で、特定の人物によるイニシアティブによって始まっていないプログラムはスタンフォード大学のd.schoolが実施しているプログラムぐらいであった。そのd.schoolでさえも、IDEO設立者のDavid Kelleyがリードをとってスタートしているので、大きな差はないかもしれない。これらの教育者に感化されて、大学を移った際に新しく適正技術教育のプログラムを立ち上げた例もある。カルフォルニア大学デービス校のKurt Kornbluth、ミシガン大学のKathleen SienkoはどちらもMITのD-Lab出身者だ。アメリカのトップスクールで生徒から人気を博す授業群、と聞くと、始めから大学のサポートを受けて授業が立ち上がったように聞こえるかもしれない。だが、プログラムを立ち上げたインストラクター陣を見ると、「客員教授」「リサーチアシスタント」「インストラクター」といった肩書きの方も多く、決して満を持して大学側が人を雇ってスタートさせているわけでは決してないことがわかる。MITでも2003年にAmy Smithが初めてD-Labを立ち上げた当初は、数人の熱心なスタッフと数十人の学生が集まって細々と活動を行っていた。もちろん、大学のサポートを確保するのに、各大学とも、主要教授陣の中に適正技術教育の強いサポーターがいるのも事実だ。MITのFaculty Chairを務めていたBish Sanyal、ミシガン大学のBill Schultzなどのシニア教員も授業を担当してきた。しかし、それらのサポーターはどちらかというと、上記のような熱心な若手教員に動かされて支援をしているように見える。また、実際に我々が適正技術教育の普及にかかわるようになったのも、MIT D-Labの熱心な教員陣に感化されたところが大きい。適正技術教育を担う一番の核は間違いなく、そういうプログラムを始めたいと思った「教育起業家」たちだ。


次に授業運営において無くてはならない存在が、途上国現地のパートナーだ。各プログラムとも提携先の「ハコ」(大学、NGO等)は違うが、二人三脚で授業を進めることができる「人のつながり」が担保できているところでは共通している。途上国のパートナーとは、決して書面上のみでの付き合いや、一学期に一回連絡をとって訪問するだけの相手ではない。彼らは一つの技術開発プロジェクトを一緒に進めていく対等なチームメンバーであり、ひいては授業の内容も一緒に作り上げていく教授陣の一部だ。適正技術教育においては、「ユーザー視点のものづくり」が大原則だ。そのため、途上国パートナーの存在が、授業のアウトプット、教育効果の質を左右するといっても過言ではない。このようなパートナーは各大学とも、それぞれの教員・大学が持つネットワークの中から見つけているようである。


最後に教育プログラムの資金源についてふれておきたい。他の大学プログラムと同様、適正技術教育プログラムもその資金源の確保には苦慮しており、各々知恵を絞っている。共通する資金源を見ると、大学の授業用予算のほかには、各大学のパブリックサービスセンター・国際交流センターからの補助、政府の教育グラント、そして教育系財団からのグラントがある。前述の通りサービスラーニングが充実しているので、大学内に生徒のパブリックサービスを支援するセンターを持っているところが多い。そのようなセンターは学生の海外ボランティアも支援しており、フィールド調査の渡航費の補助がそういったセンターから出ることも多い。日本の大学でいうと、近年大学の国際化を促進するため「国際センター」のような窓口が導入されている大学は多い。そういった窓口を通じて、現地視察の渡航費を確保する可能性は考えられる。次に政府からの教育グラントだが、実はこれが占める割合はそれほど高くない。むしろグラントの中心となっているのは、Lemelson Foundation [27], Kauffman Foundation [28] といった教育系財団の出すグラントだ。中でもLemelson財団が1995年に立ち上げたNCIIA(National Collegiate Inventers and Innovators Alliance) [6] は適正技術教育プログラムの財政補助、及びそこからスピンオフしたスタートアップ企業のインキュベーションにおいて、中心的な役割を担っている。NCIIAにはアメリカにある大学であれば年間$300-500の会員費のみでメンバーになれる。メンバー大学に属する教員・学生は、誰でも「Course and Program Grant(授業運営のためのグラント:上限$50,000)」及び「E-Team Grant(スピンオフしたプロジェクト実施のためのグラント:上限$20,000)」に応募できる。グラントの審査はピアレビューで行われ、約2割のプロポーザルに予算が下りる。2008年度には計$1,350,000(2010年7月4日現在、約1億1千7百万円)のグラントが計50以上のプロポーザルに対して拠出されている。このNCIIAにはアメリカ政府(NSF)も出資している。日本で同じような仕組みを作る場合には、政府が中心となって公募性の適正技術用グラント枠を用意するやり方も考えられる。


上に挙げた「熱心な教育者」、「途上国のパートナー」そして「資金提供財団」は、タイトなコミュニティーを形成し、密に連絡をとりあってプログラムの今後をデザインしている。例えば、適正技術教育の草分け的存在であるMITのAmy Smithを中心に、適正技術教育関係者が集うオフサイト合宿が毎年一週間程度行われている。そこには教育インストラクターのみならず、NSFのグラント担当者やNCIIA財団の関係者も参加し、立場を超えてざっくばらんに意見交換をしている。この密なコラボレーションが、適正技術教育プログラムの高い質を支えている。

2-3. 適正技術教育がもたらす教育的・社会的効果

2-3-1.参加学生への教育効果

大学の使命は次世代の人材育成にあり、適正技術教育がアメリカで定着してきた大きな理由もやはり学生への教育効果にある。アメリカの大学に在籍していると、主体性を持って学び、深い専門知識と幅広い視野を短い間で効率的に学んでいる学生の多くが適正技術の授業を実際に受講していることに気付く。適正技術開発には技術の知識、ビジネス知識、異文化への理解、チームワーク、コミュニケーションなどの要素を総合的に駆使する必要があり、この授業で得た経験と知識は、どの職につくにせよ財産となるものである。また、誤解を恐れずに言えば、技術が先端研究に比べて単純であるが故に、専門領域を超えた学生も多く参加することが出来、そこでボトムアップ的に学際交流が起こっている。21世紀を支える科学技術分野の人材は課題解決能力が高い人材であり、そうした人材育成のプラットフォームの一翼を担っているのが適正技術の授業といえる。幅広い人脈を得ることで、卒業後起業する例も少なくない。こうした「若さ、豊富な知識、積極性、高い対人能力」を持った人材を育成し、社会貢献に様々な角度から挑戦する人材を輩出することは、大学の使命そのものであろう。

2-3-2.国際開発の現場へのインパクト

同時に、実社会へのインパクト、特に国際開発への現場のインパクトも各方面で出始めている。最も直接的なインパクトは、提携する途上国パートナーの製品に授業で開発された技術が生かされることだ。スタンフォード大学と提携するIDE (International Development Enterprise)の製品(農業用ポンプ・灌漑装置など)には授業から生まれた製品案がいくつも生かされている。インドで貧困層向けの義足開発・普及を進めるJaipur FootはMIT、スタンフォード大学などと提携し、義足の改良を授業に参加する生徒と一緒になって行っている。次に目覚しいインパクトが出始めているのが、授業からスピンアウトしたベンチャー企業たちだ。例えば、スタンフォード大学から生まれたd.lightは設立から3年も経っていないが、すでにソーラーLEDランタンを世界30カ国で販売し、百万人以上の人々に明かりを届けている。MITから生まれた携帯電話を通じたオンラインマーケットプレイスのCellBazaarはグラミンフォーンを通じてバングラデシュの2000万人以上の携帯ユーザーにサービスを提供している。これらはあくまで一例に過ぎず、インキュベーション段階のアイデアも含めればその数は実に100事例近くに及ぶ(*5)。そのインパクトのポテンシャルの高さに着目し、国際機関とパートナーシップを組む例も出ている。例えば、カルフォルニア大学デービス校では、世界銀行とパートナーシップを組み、Lighting the Way Zambia [10] という、ザンビアに明かりを届けるプロジェクトを行っている。

(*5):NCIIAのE-Team Grantから生まれたビジネスだけで75事例にものぼる。

3. 日本にできること、日本にしかできないこと

ここまで主にアメリカの主要大学での適正技術教育の動きを述べてきた。我々が、こういった教育プログラムのことを知った時、とりわけ先進国側の学生がこんなにすごい授業はないと話す時の目の輝きを見た時、途上国のコミュニティーがいかにこの技術が生活を一変させたか熱弁を振るっているのを聞いた時、ごく自然に「日本でも同じようなことができないのだろうか」と思った。


もちろん日本の大学でアメリカの大学と似たような適正技術教育のプログラムを恒常的に導入することは容易なことではない。言うまでもないが、日本の大学とアメリカの大学ではそもそも教育システムが大きく違う。また、大学が社会から期待されている役割も違うであろう。更には、人事の評価制度、事務員などのサポートスタッフの数、役割など違いを挙げたらきりがない。しかし、日本学術振興会が運営する国際化拠点整備事業(グローバル30)に代表されるように、日本の大学の役割が帰路にたたされているように見える。日本の大学も研究を推進するだけではグローバル化の名のもとでは生き残れず、その役割を変えている最中のように見える。この大きな大学変革の流れの中で、適正技術教育の導入はどのような形であっても、日本の大学で導入できないものであろうか?もし日本の大学にある知見・ノウハウ・技術力を、教育を通じて途上国の発展に生かせたら、それは途上国の成長のみならず、学生の成長にも大きなインパクトをもたらせるのではないだろうか。Caltechで適正技術の授業を受講した学生の一人がこんな感想を残している。「この授業は、(エンジニアリングの)『意味』を教えてくれた。技術とは単なるアイデアやコンセプトではなくて、生身の人間のためのものなんだ、と。」それはごく当たり前な感覚かもしれない。が、昨今の複雑化・細分化しすぎた工学の分野では、「人のためのエンジニアリング」を、身を持って実感するのは非常に難しいのではないだろうか。そういう感覚が少しずつ失われたことが、日本の製造業の「ガラパゴス化」を進めてしまっているのではないか。・・・それは邪推に過ぎないかもしれないが、日本の理工系の学生が、自分とは全く違う人の生活に生に触れる体験がもたらす効果は、日本の未来の技術競争力を左右するほどに大きいのではないだろうか。


実は、この適正技術教育導入の布石となるような動きは日本でも起こりつつある。東京工業大学の国際開発サークル(IDA)は、2009年にネパール・ノルウェーの大学生とチームを組み、モンディアロゴ・エンジニアリングアワードで金賞を受賞した。九州大学ではグラミン財団と提携し、途上国へのICTプラットフォームの導入サポートを行っている。この流れを汲んで、我々は今年(2010年)3月20日には、六本木の政策研究大学院で「大学×技術×BOP 日本発世界を変えるイノベーション」と題したシンポジウムを企画・開催した。適正技術教育の先駆的役割を果たしているMITのD-Labから講師を招待したほか、日本の大学・企業での先駆的な取り組みを紹介した。会場は大いに盛り上がり、様々なプロジェクトが始まるきっかけとなった。実行委員の多くは現在、適正技術製品の開発・実用化を目指すものづくりコンテストであるSee-D Contest(NPO法人コペルニク主催)[30]の実行委員となり、立ち上げを進めている。更に、適正技術教育に関しては、慶應義塾大学では、今年9月から理工学部の学生向けに「世界を変えるもの作り」と題する授業が開講する。また大学の外では、世界を変えるデザイン展がつい最近まで開催され、盛況を博した。こうした流れを継続することで、日本の大学からも途上国の生活を一変させる技術を生み出せるのではないかと期待している。


最後に、日本の中でのこの流れを加速するのに、私たち一人一人にできることについて、我々がささやかながら提言したい。前章の繰り返しになってしまうが、今は輝かしく見える諸大学のプログラムも始めは一人の熱心な人の地道な活動から始まった。今やMITの看板授業になりつつあるD-Labも、2002年にAmy Smithと数名の学生がハイチトリップとして始めた試みであった。なので、学生団体を通じた学生主導の活動でもかまわない。NGOが主導して課題を提示し、大学関係者を巻き込んでいくことも考えられるだろう。一旦大学とは独立してプロジェクトを立ち上げ、日本発の成功事例を作り、大学が続ける布石を作ることもできるかもしれない。始めの一歩は、どんな立場の人、どんな組織からでも小さな一歩は行動を起こせるのではないだろうか。大事なのは、中身を伴ったプロジェクトが継続的に実行され、教育的・社会的インパクトを生み出し続けることだ。そうした小さな成功事例が日本独自の道を切り開き、アメリカで起こっているような大きな社会のうねりとなっていくのではないだろうか。我々は「意識ある個人」が世界を変えられると強く信じている。是非、皆さんも一緒に「オモシロイコト」、始めてみませんか?

4.参考文献

  1. MIT D-Lab: http://d-lab.mit.edu/
  2. Stanford d.school, Entrepreneurial Design for Extreme Affordability: http://extreme.stanford.edu/
  3. Caltech Product Design for the Developing World: http://www.pddw.org/
  4. UC Berkeley Design for Sustainable. Communities: http://eetd.lbl.gov/staff/gadgil/teaching.html
  5. Carnegie Mellon University, Technology and Global Development: http://www.techbridgeworld.org/courses/tgd.html
  6. NCIIA: http://nciia.org/
  7. Engineers for Sustainable World: http://www.eswusa.org/
  8. Engineers without Borders: http://www.ewb-usa.org/index.php
  9. MIT Innovations in International Health: http://iih.mit.edu/
  10. Lighting the way Zambia: http://lightingthewayzambia.org/
  11. Diagnostics for All: http://www.dfa.org/
  12. d.light: http://www.dlightdesign.com/
  13. Embrace: http://embraceglobal.org/
  14. Intelligent Mobility International: http://www.intelligentmobility.org/
  15. Cell Bazaar: http://www.cellbazaar.com/
  16. AssuredLabor: http://www.assuredlabor.com/
  17. ClickDiagnostics: http://clickdiagnostics.com/
  18. E. F. Schumacher, “Small Is Beautiful: Economics as if People Mattered” (Blond and Briggs, London, 1973).
  19. C.K.プラハラード (著), スカイライト コンサルティング (翻訳)、ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略, 英治出版 (2005).
  20. Purdue University EPICS: https://engineering.purdue.edu/EPICS/
  21. MIT Global Council Report “Mens et Manus et Mundus” : http://web.mit.edu/provost/reports/Global.Council.Report.pdf
  22. Harvard University Gazette “Beyond Boundaries: http://news.harvard.edu/gazette/story/2010/03/beyond-boundaries/
  23.  NAE, Grand Challenges for Engineering: http://www.engineeringchallenges.org/
  24.  ASME, 2028 Vision for Mechanical Engineering: http://www.asmeconferences.org/asmeglobalsummit/FinalGlobalSummitReport.pdf
  25.  J. P. Holden, Science 319, p424 (2008).
  26.  Jaipurfoot, http://www.jaipurfoot.org/
  27.  Lemelson Foundation:  http://www.lemelson.org/
  28. Kauffman Foundation:  http://www.kauffman.org/
  29. 大学×技術×BOP 日本発世界を変えるイノベーションhttp://sites.google.com/site/dlabjapan/
  30. See-D Contest:http://see-d.jp/

 


2010年7月27日掲載
担当:菅野、中村、宮口、藤澤、迫田、奥村、高橋、荻、釜我
ウェブ掲載:斉藤亮