ネパール・スタディ・プログラム

第6節 国連開発計画(UNDP)ーヌワコット郡プロジェクトサイト

訪問日時:2016年11月23日

執筆者:中原隆伸

概要
UNDPは、1998年から貧困の撲滅を目指してMEDEPプログラム(Micro Enterprise Development Programme)を実施。当初は小規模でスタートしたが、のちにより政府主体のプログラムとしてMEDPRと名称変更し、国土のほぼ全域にプロジェクトサイトが広がっていった。震災後、同プログラムの復興支援版としてRELRP(Rapid Enterprise and Livelihoods Recovery Project)がスタート。訪問地域のヌワコット郡にもプロジェクトサイトがあり、3つのプロジェクトサイトを訪問させて頂いた。

主要な論点
一つ目のサイトとして、「ダッカ製織・マーケティングセンター(Weaving and Marketing Dhaka Center)」というCFC(Community Facility Center、コミュニティ施設センター)を訪問した。Weaving(織物)以外にもハチミツづくりや石鹸づくりも行っているとのことで、ものを持ち寄り、販売する起点にもする狙い。

二つ目のサイトは紙袋生産グループ(Fiber bag production group)。地元の有力者だと紹介された女性が自己資金を投入して事業を起こしている。環境に良くないプラスチック製の袋ではなく、カラフルで見た目にも美しい繊維製の袋(Fiber bag)を使用しよう、という試み。カトマンズのお店でも紙袋自体はよく目にするし、実際に我々も物品を購入した際に使用したが、このグループの作成ではないとのこと(他にもメーカーが存在する)。
三つ目のサイトは革靴づくり。生産のボトルネックになっているコンプレッサー(Compressor、革靴の底を張り付けるために必要とのこと)の購入のための資金をUNDPのRELRPが拠出した。そのこともあり、生産が増えたとのこと。

質疑応答
Q. 受益者はどのようにして選ばれるのか?
A. 被災者の中でも女性、及び差別を受けているカーストに属する人々を対象としている。その中でも固定資産の有無などの基準で選んでいる。

Q. 労働に関する国際機関であるILO(国際労働機関)との業務調整は行われているのか?
A. 行われていない(ILOはヌワコット郡でプロジェクトを実施していない)。

印象に残った言葉
色々な取り組みをしても、なかなかプラスチックバッグの根絶は簡単にはいかない。Behavior changeに時間がかかるのは、この国も同様であり、長期的に取り組む必要がある。

感想
最初の訪問先で実際に機械が使用されていることを見られなかったのが残念だった(ミーティングに参加頂いた女性は7人とも「普段はWeavingをする。今は農繁期なので農業で手がいっぱい」とのこと)。お話はしっかりと聞けたのでよかった。
二番目の訪問先ではインタビューに答えるのはほとんど代表者で、他の女性がどれだけ発言権があり、主体的に参加しているのかについて少し疑問が残った