ネパール・スタディ・プログラム

第1項 ネパールの貧困問題

執筆者:高橋 真理奈

問題意識及び問題意識をめぐる議論
ネパールの貧困問題について、貧困の定義と尺度、国際機関と政府の計画、当国が抱える貧困問題の実状の3点から議論した。

国際基準から客観的にネパールの状況を位置付けた上で、ミレニアム開発目標(MDGs)や持続可能な開発目標(SDGs)、さらには国家5カ年計画など変化する対策について理解し、当国が直面している貧困問題を、社会的要因・経済的要因・政治的(政策的)要因に分けて分析を加え、貧困根絶の目標を達成する上でカギとなる要因と対処法の因果関係の仮説から対策案を導出することを目的とした。

ディスカッション内容
ネパールにおける様々な貧困形態について最も重要と考える政策とは何か、また、カーストや震災の影響を受けた上での国家計画などネパール独自の問題に対して、SDGsなどの国際目標や個別の事例をどのように応用させることができるかについて議論をした。

参加者からは、カーストをめぐる社会変革のための教育と経済政策のバランスのとれた取り組み、インドなどの近隣諸国のケースと比較した海外企業の進出条件等、貧困脱却に寄与するであろう政策について幅広い意見が提案された。

問題意識に対する仮説
ネパールはアジアの最貧国に位置付けられるが、その要因は以下の三点が想定される。

・資源に乏しく山がちな国土が産業の発達を阻んできた。

・カースト制度による教育機会の不平等が経済格差を生み出している。

・混乱した政治状況が続き、経済政策が十分に行われてこなかった。

上記の要因を踏まえて、国際援助を行う際には、受け皿となる国内環境の整備と体制・仕組みの育成を合わせて実施することが肝要である。

参加者コメント
参加者からは、「ネパールは傾斜の厳しい内陸国で、深く根ざしたカースト制度が今も政策や社会に影響を及ぼしている複雑な国である。内政干渉となりうるテーマでも、このスタディ・プログラムではチャレンジしていくとよいかも」という感想があった。